研修報告:国際研修第4回「グローバルな特許侵害訴訟の最新状況と今後の知財マネジメント」

平成28年12月5日(月)に、第4回国際研修「グローバルな特許侵害訴訟の最新状況と今後の知財マネジメント」を開催しました。本研修には、50名以上の先生方にご参加頂き、大変盛況な研修となりました。

講師には、セミナー前半は、昨年秋まで、ソニー株式会社の知財センター長として、世界を相手に陣頭指揮をとられた守屋文彦先生(KIT虎ノ門大学院・客員教授)をお招きしました。セミナー後半は、ソニーの事業本部や知財センターでの経験を有し、現在は、PA会国際研修部門部会長として本研修を企画する杉村萬国特許事務所の弁理士の粟野晴夫が務めました。

本研修の前半では、欧米と日本の特許侵害訴訟に関し、地裁一審訴訟の費用、特許権者の勝訴率、無効審判等における特許権の無効率等の定量的な具体的比較データに基づいて、各国における特徴を説明頂きました。また、パテントトロールに関して、投資信託と言う金融商品としての特徴を始め、係争件数が、2016年は実質2009年並みになってきていることや、Wi-Fi特許訴訟の被告会社、PTAB提起件数や特許ディフェンスファンド等の最近の動向について、実際に企業知財のトップを務められた経験を基に、説得力ある説明をして頂きました。

本研修の後半では、知財権をビジネス構築の武器として活用することに関し、オープンイノベーションとプラットフォームビジネスの観点から、講師の経験したビジネス事例をもとに説明がなされました。知財権は、特許侵害訴訟で戦ったり、ロイヤリティ収入を得たりする活用も大切ですが、知財権がビジネスそのものに貢献することは、特に重要なことの一つです。特許権、商標権と意匠権を基に、プラットフォームを創造し、そのプラットフォームを進化させていくことで、次世代のビジネスを構築し、継続的に収益をあげていく方法が解説されました。

研修終了後の懇親会では、講師の先生を含め18名の先生にご参加頂き、和やかな雰囲気で交流を深めることができました。講師の先生方と、講演内容について、さらに討論をされる先生方もいらっしゃり、実際の企業知財の最前線にいらした講師の先生方との話し合いは、とても実り多いものであったようです。参加者の先生からは、来年も同様の研修を強く希望される声もあり、多くを学ぶことができた研修となりました。

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